2011年8月14日日曜日

Class Supplement (早稲田国際AO入試 Spirit Level)

Day Six Spirit Level 解答のポイント
主題 貧しさではなく貧富の差が国の元気度を決める

本文訳 2つのグラフはある国の (a) 国民総所得 (b) 所得格差 と健康・社会問題を起こす可能性の関連性を示している。「健康・社会問題指標」は以下の問題に関して国際機関(世界銀行、経済協力開発機構、国連)が得たデータから算出されている:  (1)平均寿命、 (2)10代の出産 (3)肥満 (4)精神病 (5)殺人 (6)投獄率 (7)人間不信 (8)社会の流動性 (9)教育 (10)幼児死亡率 グラフbの線は回帰直線(二組のデータの中心的な分布傾向を表す)である。すなわち2要素がベストフィット関係にあることを示す。

グラフaとbをぱっとみて分かること 
ふたつのグラフをぱっと見て気づく特徴は次の2点だ。
1)グラフbには傾きがプラスの一次関数の線分がある。
2)グラフaとb両方でアメリカだけが極端に右上にある。

そこでそれぞれの特徴から次のことが分かる。
1) グラフbの縦軸と横軸の要素は比例する。
2) アメリカには他国とは異なる極端な特徴がある。

グラフaとbの見方
縦軸はグラフaとb共に同じで、大まかに言えば「不幸の度合い」を示している。(問題本文の「健康・社会問題を起こす可能性」)どちらも上に行くほどその国は不幸な人が多いことになる。

横軸はグラフaは「その国のお金持ち度」(問題文の「国民総所得」)、グラフbは「その国の貧富の差」(問題文の「所得格差」)を表している。

つまり、グラフa では右に行くほどその国はお金持ちだということになり、グラフbでは右に行くほどその国は貧富の差が大きいことになる。そして、グラフbの傾きがプラスの一次関数の線分は「不幸の度合いと貧富の差は比例する」ことを示している。

グラフaから分かること
ポイント: お金持ちの国であるかどうかと健康・社会問題の多少はあまり関係がないらしい。また、お金持ちでない国々よりもアメリカのほうが健康・社会問題が多く、お金持ちの国同士で比べてもアメリカが極端に健康・社会問題が多い。
詳細: 横軸が国民総所得、縦軸が健康・社会問題の場合、予想可能なのは左側ほど点が上に来る(お金持ちでないほうが健康・社会問題が多い)ことだが、ポルトガル以外はこの予想に合う国はない。(ちなみに、グラフ上の国々は全て先進国)むしろ、比較的グラフの右寄りにある国の位置が低くない(お金持ちでも健康・社会問題がかなり多い)点が目立つ。例えば、イギリスは所得では中間の位置を占めるにもかかわらず健康・社会問題はポルトガルの次に多い。更に、最もお金持ちのアメリカがそれほどお金持ちでない国々よりもずっと健康・社会問題が多く、ノルウエーとアメリカは同じくらいお金持ちでありながら、健康・社会問題はアメリカがノルウエーの3倍になっている。

グラフbから分かること
ポイント: 貧富の差が大きいほど健康・社会問題が多い。またアメリカは貧富の差と健康・社会問題の度合いが極端に大きい。
詳細: 貧富の差と社会問題をグラフにすると傾きがプラスの一次関数の線分を引くことができるということは、貧富の差と健康・社会問題には相関関係があり(比例し)、
【貧富の差(小)=健康・社会問題(少)/ 貧富の差(大)=健康・社会問題(多)】だということが分かる。

グラフaとbから分かるアメリカの特徴 
グラフaからはアメリカが世界で最もお金持ちの国でありながら健康・社会問題が極端に多いことが分かる一方でグラフbからはアメリカが先進国の中で極端に貧富の差が大きいと同時に健康・社会問題も極端に多いことが分かる。超格差社会のアメリカは先進国の中で最も元気がない国なのだ。


問1 適切な例を挙げてこれらのグラフが示唆することを1段落で説明してください。 解答用紙の所定の場所に英語で書いてください。

「グラフaから分かること」と「グラフbから分かること」及び「グラフaとbから分かるアメリカの特徴」 参照


問2 健康・社会問題指標に含まれる10件の問題のひとつを選んで、日本とアメリカに焦点を当てながら、これらの問題の発生における(日米の)差を、グラフに示された要素以外のどんな要素で説明できそうかを述べてください。解答用紙の所定の場所に英語で書いてください。

考え方 日本とアメリカに焦点を当てるよう指示されていることとグラフで分かることの関係を考えて見る。日本とアメリカはグラフbで正反対の位置にある。日本は貧富の差が少なく健康・社会問題も少ないがアメリカはその逆。つまり、日米の健康・社会問題の差の原因は格差の差なのだが、問題で問われているのは、日米の格差の差以外に考えられる原因だということになる。そこで、日米の社会や制度などの違いで原因になりそうなものを挙げる。
以下は、考えられそうな格差の差以外の原因をキーワードで示したもの。


(1)平均寿命  国民皆保険(アメリカは2014年から実施予定でしかも問題点のある皆保険)、銃規制(ただしカナダは銃社会だが銃による殺人件数はアメリカよりずっと少ない)、失業率、車社会、規制、ドラッグ、離婚・独身率、差別、競争社会
(2)10代の出産  移民、差別、宗教、個人主義、自由主義、メディアコンテンツ
(3)肥満  規制、食生活、車社会、消費社会、競争社会
(4)精神病  伝統社会の喪失、競争社会、個人主義、精神病関連ビジネス
(5)殺人  警官の数削減、伝統社会の喪失、競争社会、個人主義、銃規制
(6)投獄率  刑務所の民営化、ドラッグ、失業率
(7)人間不信  多民族、伝統社会の喪失、競争社会、個人主義、メディアプロパガンダ
(8)社会の流動性  利益優先主義、企業家のモラル、階級闘争、雇用形態、個人主義、自由主義、アメリカン・ドリーム
(9)教育  教師数削減、予算削減、差別
(10)幼児死亡率  国民皆保険、離婚・独身率、移民、差別


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