2011年7月31日日曜日

Class Supplement (早稲田国際AO入試 Altruism is No Fammily Matter

Day Four  Altruism is No Family Matter 解答のポイント
主題: 動物行動の利他主義は自分に近い遺伝子を後世に伝えるため(kin selection=血縁選択説)というよりは環境等諸条件による小さな飛躍(one small hop)の結果だという説がある。
本文該当箇所 1)タイトル「利他主義は血縁の問題ではない」 2)第4段落 insect altruism and colonial living do not after all require kin selection to evolve. …eusociality only requires a small ‘hop’: “One small step for a wasp, one giant leap for hymenoptera.” 昆虫の利他主義と群生が進化するには結局のところ血縁選択を必要としない…社会性は小さな『飛躍』のみが必要なのだ。一匹のスズメバチにとっては小さな一歩だが膜翅目にとっては大きな飛躍だ。 3)第6段落 eusociality emerges from a rare combination of life-history characteristics and 社会性は生活史の特徴と前適応の稀な結合から生じる。If an environmental change or a new mutation then inhibits their offspring from leaving the nest, they will be forced to stay there. The pre-adaptations enable them to cooperate efficiently. Thus, says, Wilson, fully eusocial colonies emerged in one single leap, 環境の変化や新しい突然変異により子孫の巣立ちが阻害された場合、とどまることを余儀なくされる。前適応により子孫は効率よく協力することができる。従って、ウイルソン曰く、完全に社会性のある群生が小さな飛躍によって生じたのである。

各段落の要旨
第1段落 動物行動における利他主義(altruism)の説明: 生物が自分の子供を生まずに他の個体の子育てを手伝う行動
第2段落 血縁選択説(kin selection)の説明: 自分と遺伝子が近い親戚の生命を守れば自分の遺伝子が後世に伝わりやすくなるので利他主義の行動をとる。 e.g. Hamilton’s Rule(ハミルトンの法則) 生殖能力のある働き蜂の存在を血縁選択説によって説明。 
第3段落 血縁選択説の展開: 遺伝子を中心に行動の進化を説明 e.g. Richard Dawkins「重要なのは遺伝」 / Edward O. Wilson 社会性(eusociality)を血縁選択説で説明。
第4段落 血縁選択説の否定: Edward O. Wilson:血縁選択ではなく『飛躍』が利他主義行動を生む。 
第5段落 血縁選択説否定の根拠 : 社会的行動がある生物の遺伝子構造に共通点がない。クローンで増える生物に利他主義がみられない例がある。 
第6段落 a small hop『小さな飛躍』の説明: 巣わけが行えない場合、女王蜂に成る能力のある固体が働き蜂になる。その後は集団選択(より優れた集団が生き残る)により利他主義を持つ種が栄える。
第7段落 血縁選択説の擁護: Andrew Bourke「彼(Wilson)は血縁選択説の達成したものを過小評価している」 e.g. David Queller「微生物研究では有用」Francis Ratnieks「社会的行動は全て血縁選択説により説明可能」
第8段落 両方の説を有効とする考え: 血縁選択以上の理由が生物の社会的行動には存在する。血縁選択説と集団選択説は両立可能。 e.g. Queller「集団選択説は血縁選択説の代わりに社会の進化を説明するための単なる別の選択肢」Mary Jane West-Eberhard 「生物が(利他主義をとるかどうかの)柔軟性は血縁選択説と両立不可能だとはもはや思っていない 」
第9段落 大半の社会生物学者はWilsonの新しい考え方(『小さな飛躍説』)が革新的だとは考えていない。Wilson自身は自説が革新的だと考えている。(革新的でない証明がないから)

問1 本文によると次の記述は正しいでしょうか、間違っているでしょうか。解答欄の所定箇所にTrueかFalseと書いて示してください。

a. Edward O. S Wilson は血縁選択説を長年主張したが、最近考えが変わり、現在では社会性の発生に箱の解釈を提案している。 True
本文該当箇所  第3+4段落 上記各段落の要旨参照。
b. 進化の仕組みに関するVero Wynee-Edwadsの研究も、Richard Dawkinsの利己的な遺伝子という考えも血縁選択説の証明を助けた。 False
本文該当箇所 第3段落After the kin selection revolution, the group selection mechanisms advocated by Vero Wynne-Edwards and others no longer appeared satisfactory explanations of altruism. 血縁選択説革命後は、Vero Wynne-Edwards他が主張した集団選択の仕組みはもはや利他主義の満足な説明には見えなかった。
c. Mary Jane West-Eberhardは昆虫の利他主義に関する「柔軟性」の見方を指示していたが、現在では余りにも還元主義者的で経験で得た証拠が欠如していると考えている。 False
本文該当箇所 第8段落She, however, no longer sees flexibility as incompatible with kin selection. しかし彼女はもはや柔軟性が血縁選択説と両立不可であるとは考えていない。《柔軟性もいまだに支持》
d. 最近Wilsonが血縁選択説の無益さを批判したことに対し、Andrew Bourke、David Queller、Flances Ratnieksは全員、血縁選択説を擁護している。 True
本文該当箇所 第7段 各段落の要旨参照
e. West-EberhandとQueller両者とも血縁選択説と集団選択説は両立不可能な理論だと主張している。 False
本文該当箇所 第8段 And it is possible that kin selection theory and group selection theory might turn out to be compatible, 血縁選択説と集団選択説は両立可能だということになる可能性がある。《この後の具体例がWest-EberhandとQueller》

問2 解答欄の所定箇所に英語でEdward O Wilsonが彼の標語『一匹のスズメバチにとっては小さな一歩だが膜翅目にとっては大きな飛躍だ。』の意味を自分の言葉で説明してください。

考え方 問われているスローガンは、人類として月面に初めて降り立った時のNeil Armstrong船長の言葉”One small step for (a) man, one giant leap for mankind”「ひとりの人間にとっては小さな一歩だが人類にとっては偉大な一歩」をもじってWilsonの最近の説を端的に表したもの。一個体の小さな行動が種としての新たな進化を意味することにポイントをおいてWilsonの新説をまとめる。
本文該当箇所 主題本文該当箇所と第6段落の要旨参照

問3 利他主義は人間の自然な特徴でしょうか、それとも私たちの本能に反するものでしょうか?解答欄の所定箇所に適切な理由と例を挙げてこの問いに関するあなた自身の考えを英語で述べてください。

考え方 本文では動物には利他主義が見られるとあるが人間も利他主義のある動物なのかどうか考えてみる。賛成する場合、「既に子供がいる貧困家庭でも孤児を引き取って育てる」、「事故や災害、戦場等において自分の命を犠牲にして他人を救う」といった行動例が世界中に多数あることが根拠にできる。また、人類が最も繁栄している動物であることも生得の利他主義によるものといえるかもしれない。counter-argumentとして戦争や競争・格差社会などがあるが、資本主義の欠点や社会の複雑さなどによるゆがみだと説明できる。反対する場合は、利他主義的行動の根底には計算や社会的圧力などがあり本質的には利己的な行動だという風に説明できる。counter-argumentとして、命まで犠牲にする例が挙げられるが、例外的行動であり、賞賛されるのはその証拠だという風に処理できる。(ただしこれは「利他主義的本能に従った点を賞賛されるのだ」という反論には弱い。)
弱い。)

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